第3回「歯科技工技術を活がした人工人体製作」
平成16年7月19日
人工ボディ修復製作会社ハロートゥモロージャパン 永見美鈴 氏
 「癒し」をテーマに昨年広島で行われた日本歯科審美学会で初めて永見美鈴さんのお話をお聞きしました。
 「癒し」にこのようなアプ□−チもあることに驚き、歯科患者塾としても学びがあるのではと感じました。歯科技工士であり、人エボディ(乳房、指、顔面等)製作に約8年関わる中で、カウンセリングの重要性や人工人体製作上の技術的な面についてディスカッションを交えながらお話し項きました。
カウンセリングの要点
的確な情報を歓談の中から
 人工人体の製作には人工乳房や人工指などがあります。その工程において一番重要なことはカウンセリングです。質間が尋間にならないよう歓談しながら自然にリラックスした状態で行います。なるべく気づかれないように、なるべく楽しくカウンセリングを行うごとが重要です。
 人工乳房の場合は特に難しい。乳がんを経験し死に直面した後、いろいろな葛藤を経て来られる方がぽとんどですが、中には製作すべきか迷ったまま来られる方もいます。その多くは乳房を失ったことを受け入れられない方々です。その場合、製作側としてはアドバイスをしたり、また患者側から人生の先輩としていろいろなことを教えて頂くなかで、少しずつ気持ぢが前向きになり外出できるようになる。そして互いに信頼関係を築くことで最終的に「作る」ということになります。そこが製作の第一歩です。
 人工人体があくまで人体とは違うことを受け入れられない状態では、どんなに製作しても受け入れてもらえない。話し合いがきちんと行われ、自分としては人工人体があつてもなくても変わらないでいられるという前向きな心理に変わつていくようカウンセリングを行うことが、製作に必要な情報を得ることと同じくらい重要であり、目標でもあるといえます。
製作者は医療系か、美術系か
 人工人体の製作は印象採得後、造形し、造形が終わった後、色を採るという作業をします。その後石膏で型を作りシリコーンを流し込みます。シリコーンは製作する人工人体により数種類のシリコーンを使い分けます。人工乳房の場合、粘土で造形します。美術系の方は造形の基礎知識がありますので作業の飲み込みは早いと思います。歯科技工士として最初とまどいましたが、ある時全顎のテンチャー配列を思い出し、左右均等にバランスよく配列した訓練を思い出しました。その後は乳房の造形をすることが容易になりましたが、重カによりできる膨らみを再現するのは非常に難しいです。
 一方、手指の場合はワックスで造形します。人の手指には必ず特徴があり、まったく同じ手指を持つた他人はいません。個々に何かしら雰囲気というものを持っています。もしコンピューターで反転してまったく同じ手指になったとしても、人間味や温かさがない手指となります。左右まったく同じ手指の人はいないからです。パソコン専用の人工指・ピアノ専用の人工指・社交ダンス専用の人工指など特別な行動をするためだけの人工指を希望する方もいますが、大体は見た目がわからないようにして欲しいという方が多く、自然な形を作ります。
 こういう技術を他にやっている方には義肢装具士がいます。義肢装具士は患者に触れ印象採得をすることが可能ですが、歯科技工士とは逆で、製作は免許のない方が作ってもよいのです。義肢装具士の場合は部品を組み立て患者に合わせて義肢装具を製作していくが、歯科技工士の場合は形のないところから自分で造形して作っていくという技術を持っています。歯科技工士や義肢装具士であれぱ、医療関係者との結びつきがあり製作者として適任であると思いますが、現在は製作に関しての規制がないため、美術系の方でも製作できます。
 総合的に考えますと、技術的には歯科技工士が向いていると思います。首より上という範囲を超えまが増えますが、歯科技工士の仕事の一分野になればよいと、約8年勉強してきて思います。
日本における温泉文化が‥‥
 海外では温泉に裸で入るという習慣がないので、外見が元に戻れぱ十分という考え方でず。日本の環境、文化と患者さんの要求のおかげで、お湯につかると色が変わる乳房も作られるようになりました。電化製品も車も消費者二ーズをくみ上げてどんどん発展していく。
 歯科界に置き換えた場合、現実はまた歯科医師の権威的な部分も感じるが、少しずつ一人の患者さんにかげる時間も増えてきていると思います。何を必要と思うかどうかはその人の価値観、二ーズによると思います。その二ーズを決めるのは自分なんだというのが、草の根歯科の基本的な患者塾の立場でありたいと思います。
戻る
TOPお知らせ草の根勉強会歯科患者塾歯医者さん探検隊
年間スケジュール出版物講演記録リンクお問い合わせ